念のためお店に予約の電話をし、地下鉄の副都心線ホームに降りる。

渋谷から東新宿→都営大江戸線の若松河田へ向かおうという計画。
ところがだ・・・震度4の地震発生。
電車が全く動かない。
遅れたら申し訳ないので、いったん地上に出てタクシーで向かう事にする。
渋谷駅周辺では同じことを考える人々であふれ、タクシーがなかなかつかまらない。
気温は8度と非常に寒く、ぶるぶる震えながら待つこと10分、ようやく空車の1台にありつけた。
大急ぎで女子医大まで向かってもらう、お店は女子医大のすぐわきなので。
渋谷駅から青山通りへ入り、神宮の細い道を抜け四谷方面へ。
外苑東通りを一路北に向かって進んでもらう。
約15分の道程。
渋谷駅から2500円ちょうどで到着。
まさかこんな場所に?!という住宅街にお店あるので、初めての方は気づかないかもしれない。
地下に降りてドアをあけると、まず驚くのが店内の香り。店全体にスパイスの香りが充満しており、一般のインド料理店でもここまでの香り立つ空気にはありつけないだろう。
この時点で本格的なカレーに間違いないと確信する。
しかし、どうやら予約の必要は無かったようだ。
店内にはだれもおらず、私は一番奥のテーブルに案内された。
ここのテーブルだけは暖簾のような仕切りで分けられており、半個室のような雰囲気。
嬉しい配慮だが、写真を撮影するにはやや不都合かもしれないな、、、少し証明が暗いので。
メニューを見て、単品でカバブやカレーも考えたけれど、ここは店主の個性が光るコースをもちろん注文。
カレーはシーフードとキノコのクリームカレーからの選択でしたが、最近魚介を頂いていない事に気づき、シーフードを選択。
さらに食前酒としてポルトガルの赤ワイン、食後にはミルクの入らない「マサレ・キ・チャイ」それから、ライスは少なめで、オムレツを追加してくださいと付け加えた。
店内に流れるBGMは優雅な旋律で、他のカレー店に流れているようなインド音楽ではない。
目を閉じれば、まるで美術館の中にあるレストランに居るよう無感覚だ。
まずは赤ワインが運ばれ、見た目にも美しいサラダとひよこ豆のカレーソースが届く。
普段なら「ドレッシング無しで」とお願いするところだけれど、今回はあえてそれはしなかった。
「無農薬ハーブドレッシング」と敢えて書かれているほどに、食べる側の気持ちを考えてくださっているシェフの心配りを頂かないわけにはいかない。
そしてそれほ程なく正解だったわかる。
まずこのサラダ、レタス、キャベツ、ニンジンに加え、イチゴ、グレープフルーツ、プチトマト、アボガドなど、それぞれのサラダの具材が見事に調和しており、ありものを入れているわけでも、旬のものを選んでいるわけでもなく、「きちんと計算されて組み合わされている」と思われます。
ほどよい酸味のイチゴとグレープフルーツ、葉野菜の苦みをこのドレッシングが全体を見事に指揮しており、美しく実においしいいオーケストラに仕上がっています。
続いての玉ねぎのスープは、そのままでも美味しいですが、テーブルにある黒コショウを入れるとさらにうまみが増しますよ。
そしてある意味これも楽しみの一つだった鹿肉のロティが登場。
洋梨の甘露煮に加え、鹿肉のステーキ、内臓系など4種類くらいのお肉がお皿に盛りつけられる。
フルーツの横にはひよこ豆とスパイスをあえたサラダのようなものがあり、まずはこれを頂いてみよう。
右回りに食べてゆくが、ひよことスパイスをあえたものと、そのお隣の小さいお肉の塊がかなり辛く、ちょっとピリッとしました。
最後のステーキには、最初はそのままで、次は洋梨を乗せてなど、自分なりに楽しみましたが、さすが3時間も煮込んでいるだけはあり、柔らかく「外はこんがり、中はミディアム」というステーキハウス顔負けの焼き加減が私の食感に最適でした。
さて、いよいよシーフードカレーが運ばれる。
まずはソースを1口だけ頂いてみる・・・
はぁぁぁぁ、、、、こんなにスパイスが濃度が高く、煮込まれたカレーは初めてかもしれない。
しかも、最初は確実にカレーの風味がるするのに、しばらくすると、まるで魚介のブイヤベースを頂いてるような旨みが口全体を覆うという2段の味が口に広がるのです。
そう、それはまるで「魚介のブイヤベース風味のカレー」なのか「カレー風味のブイヤベース」なのか?!という混合料理ではなく、確実に「カレー」でありながら「ブイヤベース」の要素を持つという匠の技がなせる調理技術で完成された素晴らしい「シーフードカレー」になっているのです。
よくカレーのソースに、別鍋で茹でた魚介を入れただけのシーフードカレーを見かけますが、その類とは全く次元が違います。
その証拠に、今回は「北海道産真カジカ」「天然ベビーホタテ貝」「ワラサ」「インド産海老」が具材の説明として書いてありましたが、これ以外に「カニ」も入ってまして、このカニ。なんと甲羅ごと食べられました。
つまりそれほどまでに煮込まれているからこそ、ブイヤベースのような味がしみ込むという証拠です。
辛さを上げてもらい、注文時に「油を少なめに」とご無理なお願いをしておいたので、昆布の出汁を追加してくれた模様で、ほんのりですが昆布出汁の味もしました。
ライスは五穀米で、オムレツがご飯全体に覆いかぶさっているので、見た目が女性受け間違いなしですね、スプーンでオムレツを吸い上げると中から「米顔」が現れます。
まずはカレーの具であるホタテ、ワラサ、カジカ、カニなどを頂いた後、カレーのソースだけになった状態でオムレツとご飯を少々混ぜて頂いてみました。
もう完璧です。
半熟のオムレツ、炊き加減もちょうどよい五穀米、それに程よいピリ辛で魚介の味がしみ込んだカレーソース。
あまりの美味しさに黙々と食べていると、店主がテーブルにまで来て頂き、「辛さはいかがでしょうか?」と。「まったく問題ありません、素晴らしいです」とお伝えし「ご無理な注文、恐れ入ります」と付け加えました。
カレーは完全に完食しましたが、ご飯は8割ほど残してしまいました申し訳ない・・・。
一応少なめにとお伝えしましたが、次回は半分以下でと伝えよう。
炭水化物は控えているので。
タイミングよくカレーを下げてもらうと最後はデザートの時間。
チーズケーキを含めた3種が登場。
もちろんお味も美味しいけど、糖質を制限しているのでどれも1口だけ頂き、ミルク無し見た目はコーヒーのチャイを頂く。
フレンチでは最初の皿は淡味に、そして徐々に濃い味にしてゆき、最後のデザートで甘くまとめるというのが鉄則ですが。
今回のナーガルジュナも、最初はサラダ、ひよこ豆のカレー風味、そして鹿肉でさらにピリ辛を、最後のカレーでさらに強めの辛さにし、最後のデザートでまとめるという、後半に行くに従い辛さが増してゆくという王道を貫徹しており、このあたりの暗黙のルールもお見事でした。
時間を見ると入店からちょうど1時間。
この間、子供たちや業者の方が店内に来てやり取りをして、店外へ出る際には必ず「失礼しました」と言っているのが気になり、あれは教育ですか?と伺ったところ「はい、教育です」と女性店員さん。
料理の説明も決してエレガントではないけれど、一生懸命勉強して伝えようとしている姿勢が伝わる心温まる接客だし、真の接遇とはこういう事を言うんじゃないのだろうか?!と考えさせられるほど。
素晴らしい「時(とき)」の流れを感じ。
幸せな空間で過ごせました。
余談ですが、日本人として、いや同じ時代に生まれた人として、もしナーガルジュナの名前を知るきっかけができたなら、一度は足を運んでほしいという願いがあります。
私は世界中のカレー店をめぐったわけではありませんが、これほどまでに技術が高く、お客の事を考えているシェフ、素材のすばらしさ、CPの高さを考えると、行く価値は十分あると思うからです。
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