わらび餅。
素朴で地味な和菓子です。
存在感を消し、けれども実力ある総務部長っていう感じでしょうか。
見た目は「力を抜いたクラゲ」のようですが、食べるとしっかりかみごたえがあり、
きな粉にも、黒蜜にも合う。
でもそれ単体では味がない。
そんな他人を引き上げる縁の下の力持ち、故に和菓子の総務部長なわけです。
本来なら、この食感が好きなはずなんですけど、わらび餅には縁が薄いのです。
あのくたびれた姿が、「買おう!」と思うような動機にならず、ついつい素通りして餅菓子や葛餅へ走ってしまうのです。
小さな観葉植物がオフィスにあって、誰も世話をしていないのに、なぜか枯れない。
いったい誰が水を上げているの?!って話題になったとき、朝一番で誰にも気づかれずに水を差しつづけていたのが総務の目立たないOLさんだった・・・というような存在感。
そしてその控え目な姿勢と心根の優しさ、彼女の本来の魅力に気付いて「見方」が変わるように、食せば分かる魅力的な食感と味がわらび餅です。
見れば見るほど愛おしいその「しおれた風貌」。
食べると存在感を発揮する確かな食感。
今では大好きな菓子の一つになっています。
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